アボット(編)「アジェの20点のポートフォリオ作品集 1956年 ニューヨーク刊
本作品集はアジェの生誕100周年記念に制作されたオリジナル・プリント20点を収録した貴重なポートフォリオです。アジェが1898年より1927年にかけて撮影した作品よりアボット自らが選定・プリントを行い、ドライ・マウントし、私家版として刊行したものです。アボットは写真の焼付け技術に優れ、格調の高い作品集となっています。
1856年生まれのアジェは水夫、給仕、役者を経て1888年頃から写真家となりました。19世紀から20世紀にかけて変貌してゆく古いパリの町並、人々、ベルサイユ、記念建造物、公園などを撮影し、挿絵画家や画家に下絵用資料として販売しました。顧客にはマン・レイ、スゴンザック、ヴラマンク、ユトリロなどの画家やフランス国立図書館、パリ歴史図書館などがありました。
1920年代にはシュルレアリストがアジェの作品に関心を示し、マン・レイが La Revolution Surrealiste誌に作品を取り上げました。死の直前の1925年には本書の発行者アメリカ人の女流写真家ベレニス・アボットに出会い、熱烈な支持を受けました。アジェは1927年に不遇と貧困の中で亡くなりましたが、死後残された1300点の作品はアボットが購入、このコレクションは1968年にニューヨーク近代美術館に納入されました。
このアルバムは、アジェの偉業を後世に伝えるべく厳選した20点のベスト・セレクションです。18x24cmのオリジナル・ガラス原版より密着プリントを行い、永年保存に耐える<金調色プリント>で制作されました。アボットが焼き付けたアジェの写真は近年高い評価を受け、研究書が刊行されています。本ポートフォリオは世界各地の美術館や研究機関で写真史の貴重な資料・展示作品として所蔵されています。100部限定版。
アジェよりニューヨークの著名な前衛美術出版業者:ジョージ・ウィッテンボーン(George Wittenborn) に献呈されたという書きつけのある献呈本です。