ピカソ：ジャコブ（文）『聖マトレル』1911年 パリ刊 SOLD
本書はピカソのキュビスム時代の銅版画の挿絵本の代表作です。キュビスム芸術運動を推進した画商カーンワイラーは、前衛的な文学者のテキストにがかのオリジナル版画を加えた挿画本の出版社としても知られています。本書は詩人マックス・ジャコブのテキストにピカソが4枚の銅版画を添えたものです。お針子のレオニーを恋人に持つ、貧しい主人公ヴィクトール・マトレルが様々な変遷の後、僧院に入り、神の恩寵に打たれ、友人を改宗させ死んでゆく物語です。ピカソは挿絵に説明的な表現を加えず、版画として自立した存在価値を持つ作品に仕上げています。そして形態を分解し、表面上に再構成しながら、絵画では表現できない繊細な線を主体とした新しい空間表現に成功しました。106部限定版、著者とピカソ署名入り、ソフトカバー、サイズは268x225ｍｍです。
